みつりんふぁんくらぶ

観たものについてのメモ。解体的です

重力ピエロ

1時間59分/2009/森淳一

このたびやっとアマゾンプライムに入会致しました。相変わらずねれないし、勉強に集中するには微妙な夜中を頑張って消費するために映画を見ようと思います。

ちゃんと知らないものを吸収しなきゃ…と思ったんだけどふと見たくなって重力ピエロ見てしまった。原作、中学生の頃に出会って何回も読んでるけど映像もたぶん2.3回目の視聴かな?大好きかよ。何度見てもいいなあと思えるな…。

春が二階から落ちてきた、で始まって締まる、みたいなそういう分かり易い丁寧さ、繊細さが好きで、伏線も見てる側が置いてけぼりにならないように綺麗に優しく張ってあって良いよね。でも大事に世界を作りすぎててクライマックスとかオチとか、キメが緩く感じちゃうから、読んだ当時は好きだけど他の伊坂作品より惹かれなかった。
グラスホッパーとかの方が派手じゃん?だからグラスホッパーが大好きだったんだけど嗜好も変わって重力ピエロが一番好きだな。今なら泉水が言ってた親殺しを自首しなくても良い理由みたいなのも飲み込める(ここが好きになれない理由だった)。そりゃ春が一番考えてるもんな。生まれてきたことを後悔するくらい考えてる人が第三者にそれを裁かれんのって嫌よな。過剰なまでに美しいオチだからモヤっとするけどそれも込みで重力ピエロだなと今回は思いました。

春の中で神=ガンジー=父(奥野)だったと思うんだよな。非暴力の美しさを語った上でそれに背いたってことは春=実父みたいな結び方もできるんだけど、そんな安直な話じゃなくて、そうやって悪の遺伝を持っていたかもしれない春に奥野父の癖とかが移ってたりしてるから春にも神の精神は宿ってたんだよね。遺伝VS環境っていうテーマで作られてて、んなもんはどうだって良いんだよ(環境寄り)ってオチだったけど正義のために人をボコ殴りにするのは母親譲りだし(殴るのは良くないけど)遺伝も悪いとこだけが描かれてないように感じてそれもまた救済だなと感じた。

光の入れ方がとても柔らかくて良い作品。画面越しでも暖かさが伝わってくる。春が唇を触るところで普通に泣いた。人は死ぬしただ綺麗なだけの話ではないけど穏やかで優しい作品だから少し経ったらまた見直すんだろうなと思います。