みつりんふぁんくらぶ

観たものについてのメモ。解体的です

パドルの子

パドルの子

パドルの子

最近新生活で心が疲弊してるから本を読もうと頑張っている。久々に小説を読んだ。
作者はこれが処女作なんだっけな。脚本家志望の経歴があるだけに小説というよりは映像向けの作品だなと思った。

新海誠好きなの?

新海誠のことそんなに知らないけど、思春期の爽やかさとどろりまで行かない湿ったような鬱屈さが新海誠の武器だと勝手に思ってて、この作品も同じような感覚あった。似てるねーとか新海誠っぽいね!とかそういうことではなく、ほのかに匂いを感じる。
私は新海誠好きでも嫌いでもないです。

最初文章がちょっと痛くて軽すぎてしんどかったけど、転がものすごい速度と密度で走っていくから面食らった。300ページ強だけど「おもしろいかもしれない」と思ったのは200ページ過ぎてから。おそらく読み進めていったら段々三輪と水原の関係性について疑問を持ち始めると思うんだけど、その解け方が怒涛の勢いだった。
多分2週して補完されるようになってて、読み直して確認しなきゃ!っていう伏線がわかりやすく散りばめられてたんだけどひさびさにフィクションの本読んだからそこまでの力が出ないので今回は1週に留めとくことにする。積ん読を減らしていかないと…

タイトルの回収はきっちりされてるんだけど、作品自体がパドルしてる(?)から、そういう面で見たら読者はみんなパドルの子だなと思いました。読者の違和感をこんなに顕著に生み出すことってありそうでなかったよなと思った。作品の性質上読者が「え?」って思ったとしても違和感ないような体で話は進んでいくから、そういう演出が映像向けっぽいなーと思った。




▽2週目の私に注目して読んでほしいポイントのメモ(ネタバレ)



・「パドルの子」が生まれる過程がよくわからなかった。状況説明のところだけ何回か読み直したんだけどやっぱりわからなかった。
溺れた三輪が生き延びたいと思ったから水原を生き返らせたのか、パドルの仕組みに気づいた水原を生き返らせたいと思った三輪がパドル発見後に水原を生き返らせたのかの動機が1週目では理解できなかった。

・パドル消失後のご都合主義世界が出来上がった仕組み。なにか理由があったのか。水原が虹と一緒にご都合主義世界を作って消えたのか?

・三輪父が水泳部に変わった理由。なんで天文じゃダメだったの?「屋上フェチだから」で済ましていいの?

・「三輪のパドルの子」は文字通りに捉えて大丈夫?水難事故で行方不明になった水原とパドルによって再構築された水原は本当の意味で同一人物なの(これは小林、三輪母にもいえる)?もしそうであれば「三輪の」って修飾いらなくない?パドルによって変えられた世界を変えたと認知できるのは変えた者のみだから「三輪の」なのかな。

3割斜め読みだったから取りこぼしがありそうなんだよなー。話忘れた頃に読み直したくなるとは思うからそん時にこれ見直してから臨みます。